ファクトチェック その2

新型コロナウイルスはエアロゾルの中で3時間生存しています。だから、エアロゾルを大量に発生させる歯科治療は危ないですという話が出回り、それを基に歯医者危ないから来ないでよ(衛生士談)みたいな展開になっています。

そこから波及して、厚労省が歯科治療の延期勧告を出したという記事が出て、テレビでも取り上げられて歯科界も患者さんも大混乱です。

元の論文がこれです。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2004973

論文というか、CORRESPONDENCEだからなんと訳せば良いのでしょう?

とにかく今こんな事がデータとして出てきましたみたいな文です。

これから色々揉まれて、これはこうだったあーだったみたいな展開になる話なのですという前の話です。

何が書いてあるかというと、新型コロナウイルスがどういう環境では何時間感染力があったとかなかったとかを調べたのです。

そうしたら、エアロゾルで3時間生きていました、感染力もあるしエアロゾル感染が接触物によってはもっともらしいよと結論づけています。

3時間生きてるから、エアロゾル感染もあるかもよという話です。

しつこく書きますが、エアロゾル感染します、3時間生きてるからという結論ではありません。

で、センセーショナルな取り上げられ方でしたから、これを根拠に歯科治療は危ないよという話に結びつけられてしまいました。

で、その後に厚労省がエアロゾルに3時間生存する=エアロゾル感染ではないという見解を出しましたが、火は消えず。

歯科治療はエアロゾルが発生します。エアロゾルにコロナウイルスが生存する。だから歯科治療が危ないという分かりやすい結論に達します。

今、専門家がコロナウイルスに言及しているサイトは沢山あります。

感染様式については、飛沫感染と接触感染を挙げており、空気感染については確定的な意見をいう人がほとんどいません。

つまりまだ分からないのです。

分からないから、医師から歯科治療は危ないとは言わない。なのに、歯科衛生士、歯科医師まで一緒になってエアロゾル3時間説を根拠に怖いよ危ないよとやる訳です。

 

実際にエアロゾル感染を証明するにはどうするんですかね?

実験系はよく分からないですけど、まず密閉空間に実験動物を入れ、生きたコロナウイルスのエアロゾルを発生させます。エアロゾルを吸い込んだ動物の抗体を調べて感染の有無を調べます。空中に浮遊しているウイルスしか対象に出来ないので、落下したウイルスから感染しないようにしなくてはなりません。

これはかなり難しい実験ですよ…

エアロゾルによる感染が確定出来たとします。

次は歯科用治療器具を使ってエアロゾルを発生させて、エアロゾルが落下せずに漂う時間を計測します。

専門外なので実験方法は分かりませんが、エアロゾルが治療中、治療後に舞う量や時間が分かったら初めて、先ほどの実験が関係ありそうだなり、歯科治療のエアロゾルが感染を引き起こす可能性が示唆される訳です。

 

エアロゾルで3時間生きてるから歯科治療は危ないよとは書いてない記事を読んで、一足飛びに関連させるのは非科学的です。

 

で、悲しいかな、歯科の同業者達はエアロゾル飛んでるから危険。じゃー、防護しようとなって世界的に枯渇しているN95、PPEを日常診療で使う。

ウチは感染対策バッチリですよとやる歯医者が出てきてます。

高価なN95、PPEはディスポーザル、つまり使い捨てですから患者毎に変えてますかという話ですよ。

1日平均20枚、30枚使い、それを毎日使う量をキープしていますかという話です。

患者毎に交換しないなら意味がないし、その量を持ってるんだったら最前線に供出しなさいよと申し上げたい。

今、この状態でデマも検証しない、自分が良ければというのでは、この国難が収束した時に更に非難されるでしょう。