コラムCOLUMN
骨粗鬆症
骨粗鬆症の薬を飲んでいる、もしくは注射を射っているという方はかなり多くて、当院でも歯科治療にあたり頭を悩ませるところなのです。
骨粗鬆症の治療で出される薬というのは、要するに骨が吸収しないようにするお薬なのです。
顎の骨、歯槽骨は日常的に吸収されているのですが、歯を抜くと歯の周りにあった骨が吸収されて抜いた部分が平らになります。
それが薬によって阻害されるので、骨が吸収されず、やがて骨が壊死してしまうのです。
これをMRONJ(薬剤関連顎骨壊死)といいます。
MRONJが発症する契機は、抜歯がかなり割合を占めますので、術前に抗生剤を投与するなど対応していますが、困った事に義歯が当たった粘膜でも発症します。
義歯が当たって潰瘍になり、そこから歯槽骨が露出し、治らないという状態です。
骨粗鬆症の治療薬としてよく処方されているのは、BP(ビスホスホネート製剤)ですが、この薬は中断しても体に非常に長く留まってしまいますので、投与期間での中断はあまり意味がありません。
加えて、四年以上の投与でMRONJの発症リスクが高まります。
ですから、治療開始前に歯科治療を終え、治療期間中は定期的なメンテナンスが必要になってきます。
これには当然医科と歯科の連携が必要になります。
治療薬の説明書には投薬開始前には歯科治療を終えておくように書かれていますが、なかにはなんの説明も受けず治療開始してしまう場合もあります。
連携の強化は急務です。開始前に歯科治療を義務化するくらいでないと難しいのかもしれません。
参考文献
図表で学べる骨粗鬆症 太田博明 中外医学社 2022
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