コラムCOLUMN
TCH理論
みなさんは、普段の生活で上下の歯が接触しているのが正常だと思っていませんか?
実は座った状態では、下の歯は上の歯と噛み合っていないのが正常です。
これを下顎安静位といいます。上下の前歯が噛み合わず、2mm程度の隙間が空いた状態です。
もちろん奥歯は噛み合っておりません。
これは歯医者なら誰でも知っている事で、日常診療では下顎安静位から2mmマイナスした高さで入れ歯を噛ませます。
さて、座っている状態でも上下の歯が噛み合っているという人がいまして、それが顎関節症の発症の原因の一つではないかという理論があります。
東京医科歯科大の木野先生が提唱された、「TCH理論」です。
Tooth Contacting Habit、つまり歯を接触させる癖ですね。
この癖がある人は顎関節症になりやすいのではないかという話です。
噛むという事は咀嚼筋を使い続けている事なので、顎の筋肉や顎の関節に負担がかかります。
また、TCHのある人は夜間の食いしばりや歯ぎしりも、ない人より長い時間やっているというデータもあります。
顎関節に症状が出た場合、就寝時にはマウスピースを使用してもらいますが、マウスピースは装着時に2mm程度上下の歯が離れるように設計されています。
だから、マウスピースは一定の効果があるのです。
問題は起きている時のTCHです。起きている時までマウスピースをする訳にはいきません。
歯が噛み合わない状態が安静と意識し、リラックスするように心がけるのが一番です。
このように顎関節症の発症について、色々な事が分かってきています。
顎に異常を感じたら、まず顎関節症の知識が豊富な歯科を受診して下さい。
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